乙武洋匡氏にはそれでも立って欲しい。

乙武氏公式HPの、ご本人と奥様による謝罪文

今の彼に対する報道は、これぞ「水に落ちた犬は叩け」状態と言わんばかりの非難轟々。今年2016年夏の参院選に自民党からの出馬が有力視されていたが、辞退・自粛せざるを得ないという報道も多く見られる。

しかし、考えてみると彼は「世間全般」や「有権者」に対して何か悪いことをしたのだろうか?
教育委員会等の公費による出張に愛人を伴っていてその費用も公費持ちだったという訳でもない。
パワハラやセクハラをした訳でもない。
もちろん不倫がいいことなはずはないが、それはあくまで彼のご家族である奥様やお子さんに対しての悪行でしかなく、その奥様が「今日に至るまで二人でしっかり話し合った結果、3人の子どもたちのためにも、あらためて夫婦ともに歩んでいくことを強く決心致しました。」とおっしゃるのであれば、アカの他人がどうこういう筋では全くないはずだ。
(*この文章がもちろん100%奥様の意思を反映しているとは思っていません。立場上こう書かざるを得ない状況もあったでしょう。そして、奥様が謝罪する必要もないしおかしいという意見にも大賛成です。しかしながら、乙武仁美さんという実名まで出しての文章ですから、ご自身の意思に完全に反する内容がアップされるということはあり得ないと考えます。)

この「社会不満足」をかつて読んだことがある。
2014年11月の本だから比較的最近出版された著書だ。
細かい部分は忘れたが、乙武氏ならではの独特の視点や考え方がとても新鮮だった。
すでにブックオフに売ってしまったが、今回の大炎上を受けてもう一度読み返してみたくなった。
やはり四肢欠損という相当大変なハンディキャップを持って生まれ、生活し、「五体不満足」で一気に超有名人になり、それからスポーツライター、教育現場など様々な仕事を経験されて、普通の人には見えないものが彼には見えるのではないかと思う。

また、五体不満足にもかかわらず、三人のお子さんがいらしたこともこの度のことで初めて知った。未だ独身の小泉進次郎より少子化対策を自ら実践していると見ることもできるだろう。

教育、福祉、スポーツ、様々な分野で、他の議員には出来ない彼ならではの知見や提案が期待出来そうだ。

そして何より、多くのひとへの、とりわけ若者世代への発信力の強さは彼の大きな武器だ。彼以上のフォロワー数を持った国会議員って一人もいないのではないだろうか。

悠仁さまご誕生の時、階段を上って入る銀座?のレストランへの批判など、何度となくご自身のツイッターやブログで炎上を経験している彼だが、今回のこれはケタがあまりにも違う大きさで、さすがに相当なダメージだろうと思う。

しかし、私は思う。
「一億総活躍社会」「バリアフリー社会」を標榜する現政権は、今こそ彼をむしろ起用すべきなのではないか。

若者の政治への無関心は大きな問題だと思う。
彼があえて出馬することで、若者の投票率アップにも少なからず貢献できるのではないだろうか?

自民党がダメなら野党でもいい。一票の格差見直しで議員定数が増えた東京選挙区なら、この逆風の中でも彼には十分チャンスはあるだろう。比例全国区で出ても一定の得票は期待できることと思う。無所属で東京から立つのもいいのではないか。

もし彼が今回立つのなら、私は一票を投じたいと心から思う。

丹波市と地方移住

先週末(2015年1月16日)、吉祥寺の自然食レストランパブリックキッチンにて開催された「TOKYO丹波会」というイベントに参加してきた。

Tokyo丹波会画像

丹波市というのは兵庫県の瀬戸内海と日本海の真ん中くらいにある人口7万人足らずの自治体。大阪駅からも特急で1時間程度と、東京からだと結構離れているが、近年首都圏からここに移住する若者がとても増えているそうだ。私も1年半ほど前に初めて丹波に足を運び、移住者の若者や、それを迎える地元の人のお話を色々お聞きする機会があったご縁でお邪魔した。

今回で3回目となったこの会のスローガンは、
「今を生きる丹波人と、いま現在街中で暮らしている元丹波人と、丹波に興味のある人との三つ巴の交流が丹波会の醍醐味。たんなる同窓会では終わらない、新しい繋がりをつくり、これからの丹波を一緒に考え共に動く仲間つくりのコミュニティ“丹波会”。」確かに「◯◯県人会」的な同窓会的な会合とはちょっと趣が違っていて、まさに丹波在住の人(1)、丹波出身で東京に住んでる人(2)、私のように丹波に興味がある人(3)とバリエーションに富んだ集まりだった。

(1)の中にも、その日に東京で行われた移住フェアに出張してきた市役所の人のような元からの丹波人と、Iターンで最近になって丹波で暮らすようになった人とがおり、(2)にはふるさと丹波への思いはあれど東京に持ち家を買ってしまった人、もうすぐUターンして農業を始める人、Uターンを検討中の人など。(3)も私のようにたまたま訪ねた事のあり興味をもった人、Iターンをかなり真剣に考えている人、様々だった。

丹波定住促進サイト(これも面白い。オススメは「移住女子」のコーナー)

この会の幹事の方のお話で印象深かったのは、「こういう会合があることで、これから移住を考えようという人が、丹波出身の人、丹波在住の人、Iターン経験者らと、お酒を片手にくつろいだ雰囲気でお話することで、移住のイメージがかなり具体的になるし、実際に行ってからもいきなりゼロからのスタートでなく既に顔見知りがいるところから始められる。」ということ。この効果はお互いにとって本当に大きいだろう。こういう集まりを、もっといろんな自治体でやったら良いのではないだろうか(既にたくさんあるのかもしれないが)。

今はどこも少子高齢化が進む中、大都市から地方への移住促進がある種のブームになっている。しかし、つい最近NHKで見た新潟県の日本海に浮かぶ離島の粟島の話を見たが、やはり東京から移住してくる人の感覚と、その地でずっと暮らしてきた人の感覚というのはそう簡単に相入れるものではない。

NHKクローズアップ現代 小さな島の大きな決断 ~地方創生の現場か

この番組の中で、都会から来た若い女性が、粟島に一泊3千円位の若者向けゲストハウスを作り観光客を増やし定住者にも繋げようとの企画が、地元の民宿組合が一律7千円位でやっているという理由で反対される、という話が描かれていたが、一概にどちらが正しいと言える話ではないし、都会からの「ふるさと創生事業」等に振り回され続けて島の環境も心も疲弊してしまった地元の視線はなかなか都会の人間には想像しがたい。

やはり地域で発言力のある人と、都会から来た新しい血と、その両方がうまく融合しないと地方が変わってゆくのは難しい。下記リンクの丹波市議横田いたるさんのお話にあるように、いかにそこをうまく進めてゆくかが肝心なのだろう。
丹波市議 横田いたるさんインタビュー記事

丹波というところに、そこにしかないものすごく特別な何かがある訳ではないが、こうしていろんな人たちが明るく前向きにやっていること自体がとても魅力だし、やや閉塞気味の日本全体を元気にするヒントがここにはたくさんあるように感じた。

株式会社ご近所ホームページ
(Iターンの若者が中心となって地元の活性化の事業等をやっている会社)

確かに東京からだと結構な距離ではあるけど、ほんとに魅力的な場所なので、まだ行ったことがない人には一度訪ねてみることをオススメします!

丹波の田んぼ

飛驒のInbound Tourism & Iターン移住

今日はご縁あって、飛驒市で起業し、「サイクリングツーリズム」を主に外国人ツーリストに提供しておられる、株式会社美ら地球(ちゅらぼし)の山田拓社長のお話を伺う機会があった。

飛驒市 里山サイクリング事業(美ら地球 山田拓さん)
自分のFBにも書いたが、今年の夏に生まれて初めて飛騨高山を訪問し、外国人旅行者の多さ、そして他の地域と違い欧米人の比重の高さに驚いた。この山田さんは飛騨高山からさらに少し富山県よりに山奥にいった飛驒市の飛驒古川という場所で10年ほど前に起業した。外資系経営コンサルを辞め、夫婦で世界を2年旅して、たまたまご縁で飛驒に住むことになった山田さんは、最初は起業でなくどこか勤められる職場はないかと考えたそうだがそれは難しく、世の中よりだいぶ早く個性的なインバウンドツーリズムの会社を立ち上げたそうだ。

ここでやっている里山サイクリングは、決して何か特別なものを見るわけではなく、素朴な田園風景や、小学生の集団通学とか、地方の日本人にとってはありふれた山や川の景色を眺めたりというものなのだが、Tripadvisor等の満足度は非常に高いらしい。

山田さんの素晴らしいところは、県や市の自治体としっかり連携し地域からのサポートを得つつ、独自で特色のあるウェブサイトを作ったり、最初の電話1本目からきめ細かいフォローをする英語力&サービス精神のあるスタッフを少しづづ増やしていくともに、何より自らどんどん海外出張し営業を欠かさないという攻めの姿勢にあるのではと感じた。

日本全般でいえばやはり中国人観光客が圧倒的多数だが、この飛驒古川では、なんと豪州24%、米国17%、英国12%、シンガポール8%、以下フランス、カナダ、香港、オランダ、マレーシア、ニュージーランドなどが6−3%と、日本の他の場所に多い台湾中国韓国の依存度が極めて少ない(ちなみに飛驒高山は台湾からのお客さんが多いとのこと)。余談だが、そんな多様な旅行者がいるのに、地元の小学生は外国人=アメリカ人だと思い込んでる子が多いらしい(笑)
曰く、来てくれるお客さんトコトン満足してもらうサービスを提供する、そして、この地に来て喜んでくれそうな人に来てもらうためのマーケティングをする、というところにWebデザインから、ツアーの中身から何から、工夫をこらしているとのこと。

お酒やのし紙のラベルを書いたりとか、カエルが枝に止まってるところを写真にとったりとか、地元の農家と車座で交流したりとか、本当に何気ないものが満足度につながっているらしい。

最初は奇異な目で見ていた地元の人たちも、実際に観光客が増え、結果地域が潤うようになるなかで、山田さんに一升瓶を持ってきてくれたりとか、いい流れが増えてきているそうだ。お酒はともかくとして、いわゆるヒト、モノ、カネという経営資源のなかで、モノは地域で現地調達できる部分が多く、カネもさまざまな公的なサポートをうまくやれば得られるなか、人材の確保が一番の課題とのこと。
英語が出来、能動的に課題を解決し、コミュニケーションが柔軟な人材を地域で確保するのは本当に困難。ただ、最初夫婦で始めて、10人くらいのチームになると、やはりエネルギーの合力でとてもパワーが出るし、まだまだ伸びしろを感じている、との強い言葉があった。

全ての地域でこういうことが可能ではないだろうが、日本の地方の少なくない割合にはこういった潜在能力があること、能力と意欲のある人材が中長期取り組むことによって開ける可能性がたくさんあることを感じた会合だった。

一点だけ疑問に感じたこと。
飛驒は地理的にも歴史的にも文化的にも、岐阜市を中心とした美濃よりもはるかに富山・北陸との結びつきが強い。確かに行政的には岐阜県のもとにある高山市、飛驒市ではあるが、インバウンド観光や移住促進についてはもっと広域連携で県境を越えたアプローチが求められるのではないだろうか。北陸新幹線開通後、さらにその度合いが強まっていると思う。

今日は別用があり途中で失礼したが、山田さんのお話は本当に説得力があり面白かった。飛驒、地方、海外と激しく活動されているそうだが、今月2015年12月20日(日曜)にまた東京でトークセッションがあるらしいので、行ってみようかなーと思う。

セミナー参加日誌 『本音×理解×教育⇒可能性∞』

今週の火曜、都内某所で開かれた『本音×理解×教育⇒可能性∞』なるセミナーに参加。こちらの会合には、友人である官僚の方にお誘い頂いたのをきっかけに時々お邪魔している。その方と、広告代理店の方ら幹事の方が幅広い異業種交流会&勉強会として毎月開催されていおり、すでに2年くらい続いているらしい。

だいたい19時くらいに開始し、その日の講師の方がお題として何かをお話し、それを題材に3−4人くらいの小グループで意見交換、そのあとはありがたいことに?ビールやおつまみが出て、お酒を片手に自由に話をするというスタイル。幹事の方のネットワークのおかげで面白い方とお話がフランクな雰囲気で出来るのがとても楽しい。

いろんなお題の会があるのだが、教育関係については、やはり誰もが関心のあるテーマということで2−3ヶ月に一度開かれている。

今回は秋田県の教育関係者の方がゲストとして招かれていた。酒どころの秋田だからか、しょっぱなからビールが振舞われたのは嬉しい(笑)お話の中で気づいたこと、思ったことをいくつか。

-秋田県は昔から教育県。小中学校時の成績は全国の中でもかなり上位。しかし、高校ではだいぶ順位を下げてしまう。

-過疎化は年々進んでいる。秋田県は秋田市を含め、大潟村以外全自治体が将来消滅の危機にあると言われている。そういう状況を受けて、小中学校でも地域のことを教え、地元に誇りを持ってくれるような教育は進めている。ただ、それによって地元に残る、あるいは将来帰ってくるような若者が増えるかどうかはまだわからない。

-そんな秋田県には、秋田県立の「国際教養大学」という大学がある。2004年に出来たばかりだが今や立派な超難関大学。ただそれがゆえに秋田の県立高校出身者が合格するのは相当難しい。秋田県出身者枠を設けてその中で進学する生徒もいるがやはりついていくのは大変。この学校の大半は東京など大都市圏の出身者、卒業後の進路も東京ベースの大企業や外国企業が多く、せっかく日本中から来た学生たちは、必ず1年以上の留学を経験するなど国際的な視野を広げる一方で、多くは秋田県とはあまり接点がなく通り過ぎてしまう。

などなど。

わずか10年でこれだけのレベルの大学大学を立ち上げ、起動に乗せていらっしゃることには、創立者である故・中嶋嶺雄前学長(元東京外大学長)はじめとする関係者の皆さんに本当に敬意を表する。

しかし、せっかく秋田県という様々な歴史、文化を持つ地域との繋がりを活かしきれていないというのは残念としか思えない。これからは地方が直接海外と繋がり、人の交流やビジネスを促進する時代だ。こういう大学を出た地元出身者、あるいは他地域からの学生が、例えば秋田県庁や秋田市に就職し、あるいは地域で起業し、新しいビジネスを切り開いてゆくようになって欲しいし、大学のカリキュラムにも、もっと地域と繋がるような産学連携があってもいいのでは、と思った。

秋田の国際教養大のことばかり書いたけど、実際はそんな話題は全体の中の1%くらいで、他にも学校と地域の関わり方(池田小事件前と後)とか、教育委員会とは何か、など興味深い話題いろいろ。またお邪魔したいと思いました。幹事の皆様、ありがとうございました。

最後に、今回参加された大学生の方から「ここで色々話すのはいいけど、皆さん明日から具体的に何をするんでしょうか?自己満足で終わってしまいませんか?」という素晴らしい問題提起も頂いた。ほんと、もっと真面目に生きないと。